<2007年度 8・9月号>

母語と生活言語の習得について

                                                       校 長 番 場   修

 長かった夏休みも終わり、学院内は児童・生徒たちの元気な声が響いていて、再び活気が蘇ってきました。夏休み中、家族で過ごす時間も多くあり、また、普段できない旅行などの体験も行い、児童・生徒たちは心が安定して、久しぶりに友達に会える喜びで笑顔がいっぱいでいる姿が見られました。

 さて、以前、子どもの自我形成と言語の習得について説明をいたしましたが、今回は、母語の習得についてもう少し詳しく説明を致します。子どもの成長に大事な時期は「ッ」が付く数字の頃と昔から言われています。1歳から9歳までの間に自我が「客体的自我」の形成から「主体的自我」が形成される時期であります。特に小学校に入学する頃から「手を離して、目を離さず」と言われていますようにしだいに自律していきます。

生まれた子どもが最初に耳にするのは母親の言葉で、母親の言葉を「母語」と呼んでいます。こどもの言語取得では母親の役割が非常の大きいことが分ります。0歳児から5歳児の幼児期における母親が子どもに話しかける言葉は、言語習得だけでなく、子どもの情操を養う上での役割がとても重要であります。時に0歳児から1歳頃までは母親が話しかける言葉を音として聞き、言葉の音韻組織、音がもつ微妙なニュアンスなどを聞き分ける能力が養われます。音声能力を培うのに重要な時期であります。2歳頃から3歳頃には、自分で話したい意欲が強くなりますが、それに伴う語彙が不足していてイライラすることもよく見られます。3歳頃から子どもは好奇心が芽生えて、何でも聞きたがる時期となります。好奇心が旺盛な子どもは、言葉を習得することが早くなり、また、親や家族に話したい気持ちが強くなります。この時期がとても大切で母親、父親は聞き上手になるとこが大切でありますが、子どもが話す言葉には、間違った発音や抑揚がありましが、丁寧に矯正して上げて、話しやすい雰囲気や聞く態度を作り、もっと話したい意欲を養うことです。友達ともよく遊ぶこと、テレビなどから言葉をより多く学び、習得することで生活言語が形成されます。

生活言語が学習する言語の基盤となりますので、幼児期には生活言語を豊かにしておく必要があります。生活言語の習得には友達との遊びやテレビなどがありますが、夜子どもが寝る前の読み聞かせがとても有効であると聞いたことがあります。英国で英語集中講座を受講した時に、課題研究のプロジェクトで「英国の家庭教育」について調査を行い、最後に発表したことがあります。調査項目の中に「家庭教育で大切にしていることは何ですか」という問いに「ベッド・リーリング」「約束を守らせる」の2つを答える保護者が多くいました。「ベッド・リーリング」は子どもを寝かせる時に本を読んで聞かせることです。理由は、言葉を習得することに役立つこと。聞いていて理解できない言葉があると、子どもは、「それは何に。」と直ぐに質問をして、意味を確認して覚える。読み聞かせにより物語を理解し、登場人物の考え、心情、思いやりを感じ取り、感性を養い、情操教育に非常に役立つと聞きました。

 今年度、小学部では、児童の情操教育と学力向上を図るための具体的な取り組みとして「読書活動」を重点的に取り組むことにしました。読書の量と質が読解力、語彙力、表現力を高め、あるいは、思考力、判断力、情操を養うことになります。具体的な取り組みとしては、業前全校読書の時間を設定し、紙芝居の読み聞かせ、絵本や本の読み聞かせ、ブックトーク、読書指導、児童と教員が一緒の読書などを行っています。小学部の階段の所に「本の木」作り、児童たちが本を読み終えるとカード・葉に「学年、組、氏名、読んだ本の名前、感想」を書いて、木の枝に貼り付けて木を大きくしていく活動を行っています。また、保護者の方々の読み聞かせボランティア、図書室の本お貸し出しの回数の増大、保護者のアンケート、学級文庫の補充、整理を行い、読書活動の環境作りに取り組んでいますので、ご家庭におきましてもご協力をお願い致します。

 

学校行事より

小3交流《6.27、7.2》

 メキシココースとの交流の最初の日は、かざりをつくりました。一番長いのはわっかのやつで、二番目に長いやつは名前は知らないけど長かったです。2日は、ささをもってきてくれました。かざっている時、私はかざりをとっていました。竹は日本コースの方が太かったです。【児童作文より】

    小1・2交流《6.28》

 折り紙でそれぞれが朝顔を作り、それを合わせて大きな紫陽花を作りました。作り方が両コースで違いとまどいがありましたが、出来上がりは同じだったので安心していたようでした。様々な色、形があり、出来上がりは子どもたちの想像以上に良いものでした。個人で作って貼るという作業だったため、交流場面が少なかったのですが折り方を教えたり、持ち物を貸したりと子どもたちなりに交流していました。

      小5交流《7.2》

 「日本とメキシコの四季」をテーマに、共同で大きな紙に紹介したい内容を表現する活動を行いました。日本コースの児童は春の桜や秋の月見など、思い思いの場面を絵にして日本の様子を紹介することができました。活動の様子をみていると、日本にははっきりとした四季があり、メキシコにはあまり四季という捉えがないことがわかります。逆にメキシココースの子供たちは年間を通じてある様々なイベントを絵にしてくれました。互いの季節や文化の違いについて知ることのできた機会となりました。

    小3校区巡り《7.4》

 マクドナルドではいろんな事を知りました。たとえば、マクフィルさんとドナルドさんの名前がくっついてマクドナルドになったこととかです。マクドナルドではごはんも食べました。おいしかったです。トヨタではいろいろべん強になりました。たとえば、一ヶ月で150台ぐらい売れるということです。トヨタではかっこいいぼうしをもらえてうれしかったです。とても楽しい社会見学でした。【児童作文より】

 

    中学部・卒業生に学ぶ会《7.3》

中学部の行事として、今年度初めて「卒業生に学ぶ会」を実施しました。進路に対する意識を同じ世代の先輩の話を聞くことによって、少しでも高めてほしいとの願いからです。講師の菅原あさかさん、野口恭佑さん、高橋理恵さんのお話は、まさに生きた情報として、子供たちに響いたと思います。いつの日か、自分の夢を叶え、活き活きと生活している子供たちの姿を期待したいと思っています。

 

中学部・「カサ・ダヤ」《7.5事前学習会、7.14訪問》

 毎年多くの生徒の参加によって実施されているカサ・ダヤへのボランティア。この活動をさらに充実させるために、カサ・ダヤを学ぶ機会を持ちました。日本からの交換留学生で、毎週末カサ・ダヤに泊まり込みで支援しておられる、三井由香さんをお迎えしました。「いつまでもダヤが存在すること自体がメキシコの課題である」という訴えを受け、生徒の目の輝きもその後の準備の雰囲気も変わりました。 ボランティア当日、昨年以上に交流を楽しみ、触れ合いを味わう姿が見られました。訪問後、メキシコの社会問題に目を向け、その解決に向けて考える姿が見られることを期待しています。

 

中学部・総合的な学習の時間発表会《7.12》

 中学部では、4月以降のこれまでの総合的な学習の時間のまとめとして、発表会を実施しました。今年は、年度当初に綿密な計画を行い、テーマの設定や調査の方法、表現方法、著作権につても十分に配慮しつつ、質の高い発表を目指して取り組んできました。1年生は「メキシコの現地理解」、2年生は「世界の紛争」、3年生は「ユカタンの歴史と文化」をテーマとした発表でした。内容的に難しいものもありましたが、それぞれの学年やグループの個性を活かした発表ができました。保護者の皆様にも関心を持っていただき、約30名もの参加を頂き、また多くの感想やご意見を頂きました。今後もさらに改善を目指して努力していこうと思います。

 

     体験入学対面式《7.11》

 日本コースへ体験入学をするメキシココース児童生徒24名との対面式を行いました。17日までの5日間、授業を始め日本コースでの普段の教育活動を体験し、両コースの交流、相互理解を深めてもらいました。日本コースの子ども達も、その姿勢や考え方など彼らから多くのものを学びました。